オフラインX線回折装置
先端計測開発棟 102号室
アクセス
Staff: H. Nakao (PHS:4868)
内線: 3721
概要
私たちの身の回りに存在する物は、全て原子によって構成されています。
したがって、個々の物体の性質(物性)はこれら原子の並び方や
原子自身の持つ性質により決まります。
特に、数々の興味深い物性を示すことで
近年注目を集めている『強相関電子系』と呼ばれる物質群では、
原子を構成している電子の持つ内部自由度 (電荷・スピン・軌道)の秩序構造が
物性に決定的な役割を果たすことが分かってきました。
そこで我々は、回折・散乱に分光を組み合わせた『共鳴X線散乱』を
主たる実験手法とし、新奇な物性発現の背後に潜む結晶・電子構造の変化を捉え、
物性発現のメカニズムを明らかにすることを目指す研究を進めています。
詳細はこちら。
上述のような放射光を利用した実験ではなく通常のX線回折・散乱実験は、
オフラインのX線発生装置を用い実施可能ですが、
放射光の限られた貴重なマシンタイム内で実験を成功に導く上で
本オフラインX線回折装置での試料の予備的な実験が重要となっています。
また、試料の方位出し、面の切り出しといった事前準備は、
試料の特定の方位での精密な量子ビーム実験を実施する上で必須であり、
フォトンファクトリーをはじめ、MLF、 JRR-3、 SPring-8での実験の事前準備などにも、
本オフラインX線回折装置は利用されています。
さらに、オフラインの装置ということで、マシンタイムの制約がなく、
放射光X線散乱実験を行う初心者のユーザー、
特に学生の回折・散乱実験の教育的な役割も担っています。
実験装置について
・ PF光源棟 側室A14
回転対陰極式X線発生装置: RA-Multi Max 9 (Rigaku)
最大定格出力: 9 kW
最大印加電圧: 60 kV
最大電流: 150 mA
・ 先端計測開発棟 102号室
高周波X線発生装置: SRAM18HF22 (MacScience)
最大定格出力: 18 kW [高周波インバーター式: 22kHz]
最大印加電圧: 60 kV
最大電流: 450 mA
・ 4軸回折計: (HUBER)
X線発生装置から出てくる白色X線を分光器で単色化、必要なX線を
コリメーターにて切り出したのち試料に照射する。
その後、試料に散乱されたX線をX線検出器で検出する。
ここで単結晶試料からの信号を観測するために、
試料部はω、χ、φと呼ばれる3つの回転軸で任意の方位を出すことが可能である。
また検出器部は2θと呼ばれる回転ステージ上に設置され、
任意の散乱角での信号検出が可能である。
このような4つの回転ステージで構成される回折計のことを、
「4軸回折計」と呼ぶ。
X線回折・散乱の基礎
波の回折、干渉について
物体からの散乱
結晶からの散乱
使い方
回折計制御ソフト:SPEC(CSS)
マニュアル等あり。
Built-in functions,
SPEC server/client
CPLOTコマンド一覧,
CPLOT-fontコマンド一覧
SPEC+各種情報マニュアルをまとめたもの
STARS (Control system with TCP/IP sockets)
4-circle manual (Fujii Lab.)
特性X線: 波長・波数
アナライザー格子定数一覧
格子定数 --> 2theta (SPring-8 石井)
Kα1,2の2θ位置の差の2θ依存性
基本、放射光ビームラインの実験装置群と同じであり、
以下も参考にしてください。
実験マニュアル(BL-4C,3A)
軟X線領域の回折計マニュアル
X線散乱メモ、
メモ2
ネットワークカメラ (先端計測開発棟: 102号室)
放射光実験は、
硬X線領域での回折・散乱実験
BL-4C: 本オフラインX線回折計と同性能
BL-3A: 挿入光源ビームライン、磁場中実験も可能
放射光X線 結晶構造解析をするなら、
BL-8A、
BL-8B
軟X線領域での回折・散乱実験
共鳴軟X線散乱実験用の真空中X線回折計群