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質量数195近傍短寿命核の核構造

質量数195近傍の中性子過剰核のβ崩壊寿命や原子核質量は、鉄よりも重い元素が合成された天体の温度と中性子密度の相関を決定できる唯一の測定値です。しかしながら、従来の原子核反応では生成率が低く、この領域の原子核の性質は未知のままです。そのため重元素合成の天体環境は実験的に解明されていません。そこで我々は、新たに多核子移行反応で質量数195近傍の中性子過剰核を生成し、元素選択型質量分離器(KISS)で選別した後、以下の核分光実験から天体環境解明を目指しています。

  1. β崩壊寿命測定
  2. 原子核質量測定
  3. ガンマ線核分光
  4. レーザー核分光
  5.   

詳細はKISSのページをご覧ください。

核子当たり数MeVでの重元素核反応研究(多核子移行反応)

質量数195近傍または238U領域の中性子過剰な重い短寿命核の生成に多核子移行反応が有力であることが、フランスのGANIL研究所で我々が行なった反応断面積の系統的測定から明らかになりました。(詳細はこちら)しかし、その反応断面積を定量的に記述できる理論は存在しません。重原子核反応機構の理解および反応断面積の予見能力をあげるため、重元素核反応研究を行っています。 詳細はKISSのページをご覧ください

A=60-80領域のN=Z近傍核の精密質量測定

I型X線バーストと呼ばれる爆発的天体現象を駆動する早い陽子捕獲過程の反応経路解明に向けたN=Z近傍陽子過剰核の精密質量測定を行なっています。質量測定は多重反射型飛行時間測定式質量測定器MRTOFと呼ばれる高分解能の機器を用いており、2000万分の1の精度で陽子過剰核の質量を測定することに成功しています。

238U近傍の超重原子核の質量測定

超重元素の直接質量測定へ
超重元素さらに「安定の島」の研究のためにウランより重く稀少な元素の同位体の精密質量測定実験が進行しています。この研究のために高周波イオンガイドガスセル装置、多重反射型飛行時間測定式質量分光器MRTOFを開発しました。これを用いて既にNo, Md, Fm, Esの原子番号100以上の元素の10個の同位体の質量測定に成功しています。今後ニホニウム同位体、さらに現在知られている超重元素のもっと遠くにあることが予測されている「安定の島」への道筋をつけることを目指しています。

リチウムイオンバッテリー内での拡散係数の直接測定

リチウムイオンバッテリーの起電力は電極材料や、導電体中でのLiの移動度に依存します。しかし従来の中性子散乱や、抵抗の測定では移動度を直接測定することは出来ません。低エネルギー短寿命核8Liビーム(数十keV)を厚さ数百nmの材料に打ち込み、8Liのβ崩壊後に放出されるアルファ粒子数の時間依存性を測定することにより、物質中でのLi原子の移動度を非破壊的に直接測定することに成功しました。リチウムイオンバッテリーの性能向上を目指し、新しい電極材料および導電体の探索を進めています。詳細はこちら


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