研究テーマ

質量数195近傍短寿命核の核構造

質量数195近傍の中性子過剰核の寿命や質量は、超新星爆発時の温度と中性子密度のパラメータを決定できる唯一の実験値です。現在の技術では生成すら困難なこの領域の短寿命核を生成分離し、分光を行う実験を進めています。詳細はKISSのページをご覧ください。

核子当たり数MeVでのエキゾチック核反応

上記の短寿命核を生成するために用いる多核子移行反応は、現在の理論で記述することができません。断面積の予見能力をあげるため、この反応断面積の系統的測定をフランスのGANIL研究所で行いました。詳細はKISSのページをご覧ください。

天体核反応断面積の直接測定

質量数5や8の自然界に安定元素がない領域での限られた生成経路を調べると、重元素生成の最初の部分の天体環境を明らかに出来ます。超新星爆発等109 Kという高温での主要経路は8Li(α,n)11Bと考えられています。短寿命核8Liビームを使って、この温度で反応が起こる確率を調べ、11Bの生成量変化を明らかにしました。

一方、主系列星内部の108 K程度の温度では、主要経路が4He+4He+4He→12C及び、12C(α,γ)16Oになります。いずれも生成率が小さく、天体温度での反応率測定は非常に困難なため、高温での反応率測定から理論予測の精度向上を目指します。12C(α,γ)16Oでは、高強度ヘリウムビームによる16Oの生成率を測定し、理論予測に制限を加えました。

これらの実験の詳細はこちら

中性子魔法数20消失にかかわる原子核

中性子過剰核32Mg近傍の原子核は、安定核での常識とは異なる核構造を持ちます。その原因解明を目指して、32Mg近傍の原子核での単一粒子状態を調べる実験を行います。実験は理化学研究所RIBFの不安定核ビーム生成装置、およびCERNのREX-ISOLDEを用いて行います。詳細はこちら

リチウム電池内での拡散係数の直接測定

Li電池の起電力は電極材料や、導電体中でのLiの移動度に依存します。しかし従来の中性子散乱や、抵抗の測定では移動度を直接測定することは出来ません。短寿命核8Liビームを打ち込み、8Liが崩壊してできるアルファ粒子数の時間発展を見ることにより、物質中でのLi原子の移動度を非破壊的に直接測定することに成功しました。