超低速ミュオンビームライン機器の紹介
【大立体角捕獲用MICソレノイド電磁石】
U-Line最上流部に設置されている常伝導電磁石です。30 MeV/cの運動量を有する低速(表面)正ミュオンを400 mSr以上の立体角で取り込みます。ミュオン生成標的近傍は放射線量が非常に高いので、無機絶縁コイル(MIC)を使用しています。
【湾曲超伝導ソレノイド電磁石】
全長7 m、ボア径120 mm、最大定格2 Tの超伝導電磁石です。入射部からのミュオン軌道を45度曲げ、直線状のソレノイドによってトンネル外まで輸送し、再び45度の湾曲部を設けて上下方向に働く軌道のズレを補正することが可能です。コイルの冷却にはGM冷凍機を使用します。
【収束用超伝導ソレノイド電磁石】
湾曲超伝導ソレノイド電磁石によって輸送されたミュオンのビーム径を直径70 mmまで収束させて、ミュオニウム生成チェンバまで効率良く輸送する6連の超伝導電磁石です。
【ミュオニウム生成チェンバ】
純度99.9999%のタングステン薄膜(50 μm)のミュオニウム生成標的をビームに同期したパルス電流により、約2000℃まで加熱します。チェンバ内は超高真空に保たれています。
【ライマンαレーザーシステム】
理化学研究所との共同開発によって、約100 μJ/pulseの世界最高強度の全個体パルスライマンαレーザー(VUVレーザー:122 nm)が開発され、ライマンα光の発生を確認しました。現在はレーザーの輸送と強度を調整しています。