荷電増幅器 | KEK Charge Breeding ECR Ion Source |
ISOLから引き出される短寿命核イオンは単価電荷であり、 後段の線形加速器で加速するためには、質量電価比で約7の 多価電荷にする必要がある。このために、 本施設では電子共鳴型イオン源(ECRイオン源)を荷電増幅器としてISOL下流に設置し、 ISOLからの短寿命核ビームを多価イオンに変換する。ECR型の荷電増幅器は 世界で初めての試みである。
本施設への設置の前に、二つのECRイオン源を用いた原理証明試験をKEKで行った。 初段のECRイオン源から生成した単価のArイオンを後段のイオン源に打ち込み、 多価イオンができるかどうかテストを行った。その結果、全打ち込み量の約16% を引き出すことに成功した。そのうち、質量電荷比が7に近い5価と6価のArイオン は共に2%の効率で引き出す事に成功した [1] 。
荷電増幅の過程を定量的に理解するために、ECRプラズマに入射されるイオンの軌跡 をシミュレーションすることで、引き出し効率を見積もった [2] 。 シミュレーションには、ECRイオン源の磁場閉じ込め、 イオンの微小散乱も考慮し、チャンバー内での均一分布プラズマを仮定している。
このようなR&D を経て、ECRイオン源を荷電増幅器として デザインし、2001年度に製作した。
KEK荷電増幅器の概略図と性能表