本研究室では広い意味での量子力学の基礎と、その応用に関する理論的研究を行っています。
研究の内容は、大きく量子力学の数学的枠組やこれに関わる数理的応用に関するものと、
量子もつれを根幹的な概念とする量子力学の概念的枠組に関するものに分けられます。
前者の量子力学の数学的枠組においては、量子化(古典論から量子論への移行)の一般的問題や、
特異点の量子的扱いと応用、(量子)可解系の構成などの数理的なテーマがあります。
加えて素粒子論との関係では、ゲージ場や重力の量子論などで重要になる非自明なトポロジーの量子効果や、
量子論的対称性の破れ(量子異常)の機構などもこの範疇に入ります。
一方、後者の量子力学の概念的枠組に関するものとしては、量子相関や量子もつれの基礎に関する問題や、
これらの物理的(または量子ゲーム理論などの他分野への)応用のほか、
今後重要になると考えられている動的な量子相関の応用などが含まれます。
さらに非局所性や状況依存性など、量子力学の基礎概念に関する新しいアプローチも、
研究対象となっています。