組合ニュース No.1325 (1997/11/7)

1997年8月

この間の専行職をめぐる経過および,
「技術専職制度確立・専行職適用をめざす新たな提案」について


技術職員部

専門行政職適用が見送られて1年以上が経過しました. 最近, 都大教からこの1年間の国大協や文部省の検討状況が明らかにされ, 更に 新しい状況での, 新しい方針「技術専職制度確立・専行職適用をめざす新たな提案」が提起されました. この新しい方針は, 技術専職制 度をめざして, 法令の整備を求めることと, 技術部組織のあり方を検討すること を提起しています.

1. 専行職適用が見送られるまでの経過

a) 経過 (1) 人事院は, 1985年の専門行政職俸給表新設以来, 「制度を整えてくれば検討 する」として門戸を開いていた. (2) 人事院は, 発足 10年目の 1995年度が近づくと結論を出す構えになった. (3) 国大協が 1995年 12月に文部省に提出した「専門行政職俸給表審査基準」に 対して, 「適用しない」との判断がくだされた.

b) 都大教による専行職不適用の原因分析 (1) 人事院から「新しい官職の設定」=専門職制度の新設が必要と指摘されてい たにも関わらず, 文部省は制度問題として受け止めずに, 「文人給 52号」の技 官は補助職であるとの規定と配置形態を放置し続けた. (2) 文部省, 国大協は, 組織化を進めるにあたっては, 専門職型の組織でなく, ライン制の技術部を進めた.

2. その後の国大協, 文部省の動き

(1) 適用が見送られたのち, 国大協第四常置委員会と文部省人事課給与班は, 事 後策について協議を重ねて, 「専行職適用を引き続き要望し, その具体化の第一 歩として, 当面, 省令等で官職を設定し, 行(一)内での処遇改善を図る」こと を確認した. (2) 国大協会長が, 文部省高等教育局長に対して, 1996年 8月には口頭で, 10月 には文書で要望した. 高等教育局長は「職員の待偶改善のために省令は変えられ ない」とした. (3) 国大協と文部省人事課は, 省令による専門職制度設定を二段階で実現する方 針とした . 第一段階では訓令(人事課長通知改正) (4) 文部省検討会でも, 当面, 訓令での専門職制度による処遇改善が合意され, 1997年 3月, 「中間まとめ」として国大協に報告. (5) 4月以降は, 「中間まとめ」をもとに, 8月下旬の人事院への 1998年度の 級別定数要求提出に向けて作業中. 文部省は, 検討事項である, 根拠法令, 配置 基準, 資格基準などの準備を急いでいる. 人事院との最終協議は 10月末と考え られる.

3. 文部省と国大協が進めている方針の骨格.

a) 都大教は, 入手している情報から以下のように判断している. 第1段階として (1) 訓令で業務分掌と職制を定めて, 現行のライン制組織を専門職組織に改組する. (2) 技術長と技術班長を「専門員(6,7級)」に, 技術主任と4級以上の技術職員 を「専門職員(4,5,6級)」に組みかえる. 第2段階として (3) 省令に技術専門職制を設置し, 「技術主幹(7,8級)」(ライン制の課長では ない)を導入する.

b) また, 以下のように評価している. (1) 他省庁の一般的な専門職制度と同一形態になっている. 各大学に配置されて きた事務専門員や専門職員の処遇と同じ水準と考えられる. 実現されれば, 長年 放置されてきた技術系職員の地位確立と待偶改善が大きく改善される可能性がある. (2) 留意することは, 第1段階で文部省が準備する, 根拠法令, 配置基準, 資格 基準などの内容によっては, 業務や学歴, 資格による分断が持ち込まれる危険性 がある. 組合の要求と提案をまとめて提出する必要がある.

4. 専行職適用に向けた当面の要求と方針

a) 3段階で専行職の適用をめざす. (1) 第1段階で訓令(人事課長通知改正)により技術専門員・技術専門職員制度 を早急に実施. (2) 第2段階で省令による専門職制度を5年以内に実現. (3) 第3段階で専行職の適用. 省令による専門職制度と, 技術専門職型の技術部組織の確立により, 専行職 適用の条件ができる.

b) 当面の方針 (1) 第1段階での試行 専門職としての技術部を発足するための過渡期. 専門職として機能する技術部の配置形態と業務遂行形態を試行し, 整える. (2) 第1段階の達成後, 第2段階に向けて 省令による専門職制度の関連法規, 組織形態, 配置基準を5年以内に整える. 7,6 級定数を, 3年以内に 10%台, 5年以内に 20%台(現在は 4%未満)引き上げる.