都大協主催 技術専門職制度とその組織のあり方シンポジウム 資料

KEK 技術部の現状

1997.8.29
(一部修正: 1998/1/12)
(URL修正: 2001/5/10)

KEK, 高エネルギー加速器研究機構
職員組合 技術職員部

A. KEK の技官

1) 研究系のグループに配属. 研究系のグループの中で, 力量に合わせて, 仕事の分担. 国内, 海外出張. 学会, 研究会も可. 2) 運営協議会, 連絡運営会議の選挙権, 被選挙権 研究系全体会議への出席 (http://ccwww.kek.jp/kek/shomu/sosikizu.htm http://ccwww.kek.jp/kek/shomu/kanri-j.html を参照) 3) 人員 定数 183(現員は170) 部長 1 次長 1 課長 13 班長 14 係長 71 (http://www-eng.kek.jp/hajimeni/soshiki.html を参照 )

B. 技術部導入時の運動

1) 検討に関わった組織 技官連絡会(技連) 技官の全員加盟制の任意組織. 1975/1発足. 待偶改 善,地位向上の運動, 自主的な研修の実施の活動を行なってきた組織. 技術部の導入にあたっては, 論点の分析および提案を行ないながら, 技官総会などを行ない意見の取りまとめを行なった. ワーキンググループ 所の組織. 研究系の代表および技官の代表により構 成. 公式的な議論の場. 組合委員会 議論に直接にはタッチせずに, 技連およびワーキンググルー プのバックアップの役割. 所長交渉での状況説明および情報提供の要求. ワーキンググループで の議論の確認, 技官アンケートの実施とまとめ(技連と共同). 関ブ ロとの情報交換. 議論の論点を整理して, 1977/5に技連と共同で, 「技術部構想整理メモ」を作成. (参考)職員組合技術職員部は 1990年発足. 2) 決定 1976/7/1 技官連絡会の投票 否決 概算要求賛成 35, 時期早々 37 1976/7/2 連絡運営会議 概算要求賛成, 決定は所長一任. 1976/7/8 所長 概算要求決定.

C. 技術部運営

1) 歴史 1977 技術部の発足 初代技術部長, 研究主幹の併任 1979 2代目技術部長, 教官から技官への配置換え 1983 技術研究会主催(分子研と交替で主催, その後名大プラ研などが加わる.) 1985 3代目技術部長, 56才課長が昇格 1989 4代目技術部長, 57才課長が昇格 部課長連絡会の発足, 1990年に部課班長連絡会に変更. 月1回 1990 中堅研修の開始 1992 5代目技術部長, 48才課長が昇格 1996 技術部検討委員会「高エネルギー加速器機構(仮称)における技術部組織について」 1997 機構化にともない部課長会議の発足, 不定期 2) 部課班長連絡会 a) 発足 4代目技術部長の就任時に, 技術部の問題について相談を行なえる体制 を作りたいして発足したもの. 部長の私的相談機関の形で発足した. その後, 毎月定期的に開かれ, 徐々に技術部の運営を行なう機関として 動いている. b) 何を行なっているか 1997年 7月の会議の議事次第を例にあげます. 部長報告 技術部内の各委員会(語学研修実行委員会, W3委員会, 専門研修実行委 員会, 技術研究会)報告 各研究所・施設報告(技官関係) 協議事項 3) 部課長会議 1997年4月発足 非公式であるが, 部課班長連絡会で議論できない, 人事の問題を話し合 う, といわれている. 4) 技術部内の委員会など a) 専門課程研修実行委員会 1995.7 発足, 各研究部から2名, ほぼ毎月ミーテイングを行なっている. b) 技術部 W3 委員会 W3 サーバ運営委員 5名 情報部員 部課班長連絡会から5名, 各研究系から9名. 編集モニター委員 部課班長連絡会から3名 c) 語学研修 d) 技術研究会実行委員会 主催時 15名, 常時 3名 e) 技術部セミナー係 2名

D. 人事, 予算

1) 昇格人事 a) 各研究系からの代表により構成される人事委員会. 人事委員会には課長がオブザーバ参加している. 人事に重要な影響を与 える提案もある. b) 部長人事は, 運営協議会内に技術部部長人事委員会を作る. c) 人事選考の基準 文部省の昇格条件以外は明文化されていない. 年齢, 勤続年数, 等級号 俸, 研究系の評価, 総合力等が話題に出される. 若い人の中には, 研究系の業務を行なった方が評価されるのか, 技術部 の業務(研修の実行委員会など)を行なった方が評価されるのか, 不安 がある. 2) 特別昇給, 成績率 研究系総主幹が行なう. (注)機構化によって, どのように代わるかは調査中. 3) 人事異動 研究系で処理 技術部長が研究系との間を取り持つ 4) 予算 業務の予算, 出張旅費, 員等旅費は, 各人が研究系で確保. 技術部予算は, 出張旅費 18万. 技術研究会のための旅費は, 研究系の旅費 および 不足分は技術部長が確保. その他, 専門研修の予算, WWW サーバ用の予算などを確保している.

E. 研修

1) 研修の検討の歩み 1990. 技術部職員研修制度 WG 1991.1 技術部中堅研修: 4日28時間. 係員 21名参加. 講師は教官 1992.2 研修制度検討 WG 技術部長の諮問機関. 各研究部 より2名の代表 技術部研修制度検討委員会 所の組織. 技術部代表2名 中堅研修の総括および専門課程研修の検討. 1991.10 - 92.1 技術部職員研修(専門課程研修) 電磁気学1および力学1 それぞれ2時間を15回 1992 技術部職員研修(専門課程研修) 電磁気学2および力学2 1993 技術部職員研修(専門課程研修) 電磁気学3および力学3 1995.1 語学力向上方策検討会 1995.2 専門研修検討委員会: 教官4名, 庶務課長, 技術部(部長, 課長3名) 研修 WG(技術部内): 各研究部 2 名 1995.秋 - 96.3 語学中級研修(英語) 1995.10 - 96.2 専門課程研修 加速器概論および UNIXベースの計算機環境 それぞれ2時間を15回 1996.秋 - 97.3 語学中級研修(英語) 1997. 専門課程研修( 2)参照) 1997.7 委員会: 教官4名, 庶務課長, 技術部(部長, 次長, 課長3名) * 所レベルでの位置づけて, 所の委員会および技術部の研修 WG とで, 研 修のやり方を検討して, 実施している. 2) 専門課程研修 1997年度 の例です. a) 電子回路(OPアンプ回路の設計) 7時間を3回, 講師: 助教授 b) 大電力電源 7時間を4回, 講師: 助教授, 教授, 技術部課長 c) 計測技術(GPIB) 7時間を3回, 講師: 技術部班長 d) 物理 2時間を 15回, 講師: 教授 e) 低温 2時間を 15回, 講師: 3) 技術研究会 分子科学研究所, 核融合科学研究所などと交替で主催.

F. 技術部組織についてのコメント

1) KEK の技術部 待偶改善のために発足したものであり, 技術部の運営の問題はあと送り されてきた. 技術部をどのように運営するかについて, 合意に至るよう な議論はされていない. 技術部実質化の賛否の議論が, 随時なされて いる. 今までの経緯は, この「実質化の議論」において, 技術部にやって欲し いこととして出されて意見の中から, 行なうことが許されるであろう範 囲を推定して, 技術部長を軸にして, 技術部の行動範囲を広げてきている. 2) 部課班長連絡会 技術部長が業務を行なうことは, 導入時の議論に於て合意されてことで ある. 一方, 部課班長連絡会は, 技術部長の裁量で作られた機関であり, 技官の合意でできている機関でなく, 市民権は確立していない. 部課班長連絡会が技術部の運営をおこなうことは, 技術部実質化の賛否, 技術部の業務を作ることの賛否ともからんで, 意見が分かれている. しかし, 定期的に活動することにより, 徐々に定着して行く方向にある. 3) 技術部の実質化 「技術部の実質化」の内容が明確なわけではない. 業務の式命令系統が研究系にあるという点は前提として考えられている. 議論の中で出てきていることを羅列すると, 研修, 人事異動, R&D 予算, 技官によるプロジェクト, 昇格人事, 業務の把握および指導, 生活指導, などがある. 4) 自主的組織である技官連絡会議の行き詰まり. 技官連絡会議では, 全ての問題を技官全体で議論しながら活動を行なって きた. 部課班長連絡会が活動の守備範囲を拡大するにつれて, 技官連絡会 議の活動が行き詰まった. 技官連絡会議が停滞することにより, 技官全体で, 枠にとらわれない意見 を出し合い議論をする場がなくなった. 今後は, 組合技術職員部が, 技官連絡会議持っていた役割を担って行く必 要がある. 5) 研究系に根差した業務分担と, 給与表に基づく組織による管理運営の矛盾. 最初に述べたように KEK では, 研究グループの一員として業務分担し, 運 営に参加している. その点から考えると, 管理運営は研究系に一元化する のが自然である. 給与表の区分を根拠に, 研究系と区分した技術部による 管理運営には, 不自然さがある. この点をどのように考え, 実現して行くのかは, 中心的な課題である. 6) 「技術部の業務」と研究系の業務の関係 技術研究会修実行委員会, 専門課程研修実行委員会, 技術部 W3 委員会と いった, 技術部の業務を行なう組織ができている. これが研究系の業務と競合した場合には, 本人が問題を解決している. 技 術部の業務が, 将来ふえた場合には, どう解決するかが問題になる可能性 がある. 最も重要な問題は, 昇格人事の評価がどのように行なわれるのかである.

G. 今後の方向

専門職制を実現する上での業務のあり方=研究活動を遂行していく上で、研究組 織とは区分された、研究組織から独立した専門職としての技術部業務や、そうした技 術部での職員の配置形態がどうあるべきか。(神保さんの問題提起) 1) 職員組合 検討していない. 業務の研究系の中での遂行. 職制による管理運営に反対. 2) 技術部検討委員会 「高エネルギー加速器機構(仮称)における技術部組織について」(1996/3/5) 3) 技術部部課班長連絡会での, 技術部運営に関する議論(1996-1997)