1. はじめに



近年, UNIX を登載したワークステーション(以下 WS と記す)の進歩がめざましく, 大型の計算処理においても, 汎用大型計算機にとって代わりつつあります. 1992年に導入した共通計算機システムは,従来型の汎用大型計算機によるシステムですが, ますます増大する CPU パワーとデータ記録容量の要求に対応するために, UNIX 環境に移行して, 最新の技術を導入できるようにすることの検討を始めました.

1992年1月には, sun4/2 (SparcStation2, hostname は procyon) を導入して, UNIX 計算機によるデータ解析を検討するための環境を, 始めて作りました. 1992年8月には, 日立製作所より H3050REsv を借用して, WS の環境を強化しました. 1994年4月には, 共通計算機システムの一部機器の入替えにより WS を導入して, データ解析のための, R&D システムを構築しました. このシステムは PURE(Pilot Unix R&D Environment) と名づけました.

PURE は, システムを運用するデータ処理センターと, それを利用するユーザが協力して, UNIX 環境の検討をしています. まずデータ処理センターで, ユーザが WS を使うための, 一応の標準的な環境を設定しました. その環境で実際にユーザが使いながら, データ処理センターとユーザとで, 更に良好な環境を検討しています.

このレポートでは PURE システムの現状を報告します.










2. 機器構成



PURE の機器構成の概略を Table-1 および Figure-1 に示します. PURE は3台の H3050RX, 10台の H3500,および7台の H9000 を中心にして構成されています.

H3050RX と H3500 は ヒューレットパッカード(HP)社の PA-RISC を使って(株)日立製作所が開発した WS です. H3050RX はデスクトップ型, H3500 はサーバ型で, オペレーティングシステム(以下 OS と記す)は HP-UX version 9.04 をベースにした HI-UX/WE2 を登載しています. この2機種は同じ OS を登載していて, 完全に binary 互換性があります. 以下区別する必要がない場合には, 総称として H3050 と記します. H9000 は HP 社からの OEM 製品です. H3050 と H9000 との間では, ほぼ binary 互換性があります. ただし, shared library を使っている場合にはバージョンの違いにより, H9000 の binary が H3050 で実行できません.


Shared library を使わない binary の作成は, f77, fort77 あるいは cc コマ ンドを, 以下のようにオプションをつけて実行します.


データの保存用に, サーバ型の H3500 に合計 200GB の disk array を付けてあります.

ユーザ用の I/O 装置として, 4mm テープ(DAT)装置, 8mm テープ装置, 8mm テープライブラリ, デジタルリニアテープ(DLT)装置, フロプテカルディスク(FPD)装置, およびカセットテープ装置(CMT)を付けました. 8mmテープライブラリのロボット制御は R&D の対象としており, まだ使用できません.

ユーザ用の I/O 装置のついている WS は, 計算機棟の第1オープン利用室に設置しました. その他の WS はネットワークを介してアクセスすればよいので, 計算機棟の第1マシン室に設置しました.

今回の導入は UNIX 環境への移行をめざした R&D を中心に据えていますので, 特に H3050 と H9000のそれぞれ3台を, いつでもリブートできる WS として位置付けています.

各 WS の memory の容量などについては Appendix-1 を, disk array については Appendix-2 を参照して下さい.



Table-1 PURE workstations

-----------------------------------------------------------------------------
              #'s   CPU    clock speed   MIPS     memory    disk     hostname
-----------------------------------------------------------------------------
 H3500/540     5    PA7100    100MHz   131MIPS    128MB    2.8GB    ccws1?
 H3500/340     5    PA7100    100MHz   131MIPS    128MB    2.0GB    ccws2?
 H3050RX/340   2    PA7100    100MHz   131MIPS    128MB    2.0GB    ccws06/07
 H3050RX/330   1    PA7100     80MHz   105MIPS     64MB    1.0GB    ccws05
 H9000/735     7    PA7100     99MHz   124MIPS    144MB    2.0GB    ccws80/9?
-----------------------------------------------------------------------------


Figure-1 Diagram of Pure system.