津野総司(TSUNO Soshi)
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- 所属
- 高エネルギー加速器研究機構
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- 部署
- 素粒子原子核研究所
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- 職名
- 研究機関講師
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- soshi.tsuno _at_ kek.jp
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- コメント
- ピクセル検出機、ヒッグス物理、数値理論計算
欧州原子核研究機構CERNにある大型陽子・陽子衝突型加速器LHCを使ったATLAS実験に従事しています。現在は、ATLAS実験で使われている検出機の一つ、ピクセル検出機の運転、及び、ソフトウェア開発を行っています。実験開始から10年以上を経た今、ピクセル検出機は放射線損傷が著しく、検出機のパフォーマンスをいかに落とさずに制御できるのか、が大きな課題となっています。同時に、将来実験に向けて、半導体検出機の放射線損傷の理解を進めることが重要です。私は、放射線損傷を精度よくシミュレートできるソフトウェア開発を行っています。また、物理解析においては、2012年に発見されたヒッグス粒子の研究を行なっています。最近は、摂動論的な高次の効果から現れるフレーバーの破れの研究を行なっています。粒子のフレーバーの異常を検知することは、現在の素粒子標準模型の枠組みを超えた物理が背後に存在することを意味し、さらに高次の理論、超対称性模型の検証に役立ちます。フレーバーの破れの探索は、新粒子探索と違って、大きな衝突エネルギーよりも、むしろ高頻度の衝突(ルミノシティー)を要求します。したがって、次期計画であるHL-LHCに於いては、益々、こういったフレーバー異常を探索する物理が重要になってくると思われます。理論模型に基づいて、独創的な研究課題を生み出すには、数値理論計算の理解は欠かせません。そのため、定期的に理論研究者と議論し、実際に自分の頭と手を使って、ファインマンダイアグラムの計算を行ったりと、理論の勉強を行っています。そこから派生したアイデアを具体的に論文にしています。最近は、宇宙背景輻射である光子と宇宙背景ニュートリノの高次の反応から、現在、CMBで観測されている光子の偏光の非対称性を予想しようとしています。