京都大学基礎物理学研究所 研究会

 
平成14年12月18日(水)〜 20日(金)
湯川記念館 3F 大講演室

場の理論は理論物理学の有力な共通言語であり、現在、素粒子理論を中心として様々 な分野において広く用いられています。本研究会では、素粒子理論、原子核理論、統 計物理、宇宙物理、量子物理学(quantum physics)などにおける場の理論の近年の 発展と応用を探究するとともに、共通言語としての基礎的諸問題を討議することを目 的としています。また、場の量子論や量子力学自体の基礎と応用に対する新しいアイ デアや、実験あるいは観測の上での発見を自由に議論することにより、将来の基礎物 理学の発展への萌芽を見つけたいと考えています。本研究会は、特定の方向・分野に 片寄らず、多種多様なテーマを持つ研究者間で、場の理論の普遍的な問題について議 論し、最新の成果を共有することを企図するものです。また同時に、発表の機会の少 ないこれらの分野の若い研究者の参加と発表を積極的に奨励したいと考えています。 具体的なテーマとしては、

場の理論・ゲージ理論の基礎問題

場の量子化の諸問題、非可換空間上の場の理論、閉じ込め、アノーマリー、モノポールなど

対称性とその破れの機構

格子上のカイラル対称性や超対称性、余剰次元理論と対称性、並進対称性、等方性の自発的破れなど

場の理論の非摂動論的方法

可解系、厳密解、繰り込み群、格子ゲージ理論など

量子物理学(quantum physics)

多自由度系のentanglement、場の理論における測定限界、 場の理論から見た量子情報理論、生命現象における場の理論など

物性・統計力学への応用 非平衡系・開放系の場の理論、多体系・少数有限系でのBose-Einstein 凝縮、 spin系、量子ホール効果、相転移、ソリトンなど
有限温度、有限密度系への応用 カラー超伝導、quark matter, QG plasma, 有限温度の場の理論など
有効場の理論とその応用 行列模型、非線形シグマ模型、双対GL理論など
重力理論・宇宙論への応用 量子重力、black hole 、クォーク星、textures/strings、ブレーンワールド、 超高エネルギー宇宙線、暗黒物質/エネルギー、相転移に伴うバリオン数生成など
量子力学の新展開

超対称性と準可解系、物理の中の非可換幾何、トポロジーと量子化、特異点の量子効果など

などを予定していますが、広く場の理論や量子論に関するものであれば、決してこれ らに限定されるものではありません。また、なるべく多くの方々に自由に議論してい ただくため、通常の講演の他にポスターセッションの時間を、講演と並行せずに研究 会の中心部に置くことにしています。(ポスターセッションの方には、セッション前 に一人3分間程度の概要講演をして頂き、その内容が参加者全員に周知できるよう配 慮する予定です。)

本研究会への参加・講演申込みは、以下に添付の申込書に必要事項を記入の上、 e-mailまたは郵送でお申し込みください。なお、予算と時間に制限がありますので、 旅費および講演時間の配分に関しては世話人にご一任ください。 この研究会ではポスターセッションによる発表を奨励しています。 特に短い講演時間や質問時間の不足に不満をお持ちの方は、進んでポスターセッションにご応募ください。 講演希望の方が多数の場合にはポスターセッションに回って頂く可能性もありますが、予めご了承ください。 また、科研費等の財源をお持ちの方はできるだけそちらを旅費にお使い頂くようお願いします。

なお、この研究会は、科研費特定領域研究 (B)「超弦と場の理論のダイナミクス」(代表 二宮正夫)より一部、補助金を受けています。

世話人: 岩崎愛一(二松学舎大) 国広悌二(京大基研) 清水 明(東大総合文化)
筒井 泉(KEK素核研) 原田恒司(九大理) 細谷 裕(阪大理)


Last updated: 12 December 2002