Hour meter | Date | 電圧(kV)/電流値(mA) | Error type |
---|---|---|---|
16006 | 02.12.12 | 55/200 | LC, TV |
17057.3 | 03.04.16 | 55/200 | フィラメント交換 |
~17500 | ~02.06.13 | 55/200 | TV |
~17700 | ~02.06.13 | 54/200 | TV |
17915.0 | 03.06.26 | 20/10 | FC |
最後のFCエラーは、陰極の表面が熱で剥離し、
陰極とフィラメントが接触したためでした。
そこで、奥山さんに分解掃除してもらいました。
村上研の4軸回折計用に使われているX線発生装置(XG)は、
カタログスペックでは18kWまで使えるということで
最大 60kV/300mA (電圧値/電流値)まで使えることになっている。
しかしながら、調子があまり良くないために、
高電圧、高電流をかけると 電場をかけている電極間に放電が起きてしまい
止まってしまう。
ちなみに、これまでの放電歴は
Hour meter | Date | 電圧(kV)/電流値(mA) | Error type |
---|---|---|---|
------- | 02.01.16 | 50/260 | LC |
14362.7 | 02.03. | 51/260 | LC |
14715.5 | 02.04.10 | 47/220 | -- |
まず、図1に電流値と散乱強度の変化をプロットした。
図1 電流値の変化に伴う、Bragg散乱強度の変化
電流値は、まさにターゲットに衝突している電子の数に対応している。 したがって、出て来るX線強度が電流値に比例することは すぐに理解できる。 図1の実験結果は、まさに予想通りになっている。
次に、図2に電圧値と散乱強度の変化をプロットした。
図2 電圧値の変化に伴う、Bragg散乱強度の変化
X線(特性X線)の発生は、与えられた電圧で加速された電子が
原子に衝突し、核に近い内核の電子がたたき出されて空孔ができる。
ここに、外側の殻の電子が遷移することにより
特性X線が放射される。
ここでは、K殻(1s)の電子をたたき出したもので
LやM殻から電子が遷移し、Kα、Kβ線と呼ばれる特性X線が放射される。
さらに、L3(n=2,l=1,j=3/2) → K (n=1,l=0,j=1/2)
の遷移に伴うX線を Kα1線と呼び、
L2(n=2,l=1,j=1/2) → K の遷移に伴うX線を
Kα2線と呼ぶ。
つまり、ある一定以上の電圧を印加しないとX線は発生されない。
図2を見て頂ければ分かるように、ある一定の電圧(Vc=約20kV)が
X線発生に必要なことが分かる。
さらに、X線の強度は(V-Vc)^2に比例し、青線の様に実験結果を
フィットすることが出来る。
ここで、低電圧側のフィットが悪いが、実はある程度以上に
電圧を上げて行くと X線の強度は(V-Vc)^2ではなく
(V-Vc)に比例するということが経験上知られている。
そこで、低電圧側のみを(V-Vc)^2でフィットしたのが ピンク線である。
高電圧側がリニアに近付いていることが良く分かる。
結果として 40kV以上の電圧をかけた場合の発生するX線強度の変化は、
電圧V(kV)・電流I(mA)とすると I×(V-20.86)^2 で記述できる。
結果として、電圧を上げることがX線の強度を得るのにどれだけ 有効かということが分かるかと思う。 XGにとって 日々のトレーニング(日頃から 最高電圧/電流値を出すこと)が 重要であると 先人たちからは 聞いている。 もちろん、急激な電圧、電流の変更は XGに大きなダメージを与える。 真空度の状態や、発せられるXGの音に注意しながら、 心して、使って欲しいところである。