シリコンドリフト検出器(以下、SDD)は、NaIのシンチレーションカウンターに比べエネルギー分解能が高いため高調波や蛍光を除去して、
回折光のみを高精度で検出することが可能です。
デジタルシグナルプロセッサ(DSP)を用いたSDDの使用方法
SDDを設置して、電力ユニットからのケーブルを接続します。信号出力端子には信号用のBNCケーブルを接続します(NaI-SC用の信号ケーブルを使用します)。
青い箱と検出をBNCケーブルで接続する必要はありません。
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信号ケーブルをBNC-LEMO変換コネクタを使ってDSPのCH1に接続します。
DSPのMONIからの信号をオシロスコープのCH1に接続します。
AUX1の出力をカウンターのDETに接続します。
SDDの電力ユニットとDSPの電源を入れます。
DSPの制御ソフト"dsp-mca"を起動します。
ツールバーの"File"から"open config"を選択し、DSPの設定ファイルを開きます。
ツールバーの"config"を押す。
この操作でX線がSDDに入っていれば三角波のようなパルス信号がオシロスコープに出力されるはずです。
ツールバーの"start"を押すと計測が開始します。信号が入っていれば下図のようなスペクトルが測定できると思います。
縦の点線で挟まれた領域が入射X線エネルギーに対応しており、サンプルから回折光や空気散乱の信号が観測されています。
入射エネルギーの2倍と3倍のエネルギー位置には2倍波と3倍波が観測されています。
注:横軸のエネルギーは、前に設定した方の精度に依存します。
蛍光などに惑わされないためには、X線エネルギーを変化させて、
思っているピークが正しいか確認してください。
特定のエネルギー領域の信号のみをスペックに計数値として出力できます。
"histgram"のタブを選択し、スペクトルの右下にある十字のボタンを選択すると、
切り取るエネルギー領域を指定する縦点線が動かせるようになります。
上の図では入射エネルギー領域で見られるピークだけを取り出す条件で計測しています。
ROIの設定を変更後は、必ずconfigボタンを押して下さい。
そうしないと、設定変更が反映されません。
高エネルギー加速器研究機構
放射光実験施設
当ステーションのPFスタッフ
hironori.nakao(at)kek.jp