NaI検出器セットアップマニュアル

検出器の特性

3x10^4cps程度までの計数が可能。
電気ノイズは1cps未満であり,通常の用途に使いやすい。
使用可能なエネルギー範囲は3Aのエネルギー範囲全域に及ぶ。
エネルギー分解能はそれほど良くなく,3倍高調波は電気的に区別できるが,2倍はかなり厳しい。蛍光のカットは無理。

セットアップ

使用する電気系は,これ。
electronics
下段,赤く4つのランプがついているボードがカウンターボードで,制御PCと直接繋がっている。
中段,左よりレートメーター,移相子用VFコンバータ,I0用HV,NaI用HV,イオンチェンバー用用VFコンバータ,I1用HV,シングルチャンネルアナライザ(SCA), NaI用アンプである。

検出器本体と電気系は,3本の線で繋がっている。
connection
信号線が入った先はアンプである。その出力からSCA(シングルチャンネルアナライザ,パルスハイトアナライザとも言う)に繋がる。ここである高さより高いパルスのみを信号として切り分け,カウンターに信号を送る。SCAの出力をレートメーターやカウンターに繋ぐ。
アンプのゲインは,信号のパルス高が3Vから5V前後になるように設定する。空気散乱で10^4cps程度の信号を入れ,オシロスコープでアンプのoutputをモニターしながら調整を行う。
SCAにはいくつか調整するつまみがある。Window/Normal/Integralモード切替のスイッチと,lower level, window/upper limitのつまみである。
Integralモード:lower level (V)より高いパルス高の信号は全て取り込む。
Windowモード: lower levelと,lower level+Window/10 (V)の間の高さの信号を取り込む
Normalモード:lower levelとupper levelの間の高さの信号を取り込む
これを用いて高調波を電気的にカットする。通常,Window modeで0.1V程度のwindowを取り,lower levelをスキャンすることでパルス高さと信号強度のグラフを描き,1倍波の信号だけを取るようにlower level, upper levelを設定してNormal modeにする。
アッテネーターを入れてBragg反射で調整をしたくなるかもしれないが,場合によっては高調波に合わせてしまうことがあるので注意を要する。

高エネルギー加速器研究機構
放射光実験施設
当ステーションのPFスタッフ
yusuke.wakabayashi(at)kek.jp