担当者:山崎裕一、中尾朗子、中尾裕則、村上洋一
20xx年x月x日更新
実験概要
すでに述べたように、構造物性研究とは、「物性」の変化を 「構造」の変化として調べる研究であり、 物性発現の起源に迫れるだけでなく、 構造を積極的に制御することで「物性」を制御する産業応用へとも繋がる 重要な物性研究のアプローチの1つである。
一般にX線散乱実験では、X線を試料に照射し、その後散乱されてくるX線の
空間分布I(Q)=|F(Q)|^2を測定する。すると得られたF(Q)をフーリエ変換することで
X線が照射された領域の電子密度ρ(r)を求めることができる。
(
"物体からの散乱"を参照のこと)
つまりX線回折実験では、「物性」の変化を、F(Q)の変化として、
言い替えると電子密度の変化として捉えることが出来るのである。
放射光の特徴は、X線の高輝度性・エネルギー可変性・偏光特性である。 例えば、高輝度性を利用すると、超高分解能の格子定数の測定や、 精密構造解析を行うことが可能となるだけなく、 極限環境下という制約された状態での回折実験が可能となる。 また、エネルギー可変性、偏光特性を利用した、共鳴X線散乱手法では、 電子の持っている自由度である電荷・軌道・スピンの秩序状態を 捉えることが可能となる。 このように放射光を利用することで、市販のX線発生装置を利用した 研究を格段に発展させることが可能となる。
物性の変化に伴う構造変化は、X線回折により捉える方法が必ずある。 (もちろん、X線強度、角度分解能不足などにより観測が難しい場合もあるが...)
結晶の試料での実験が主。ただしX線散乱では、結晶・非結晶によらず 電子密度のフーリエ変換であるF(Q)を観測できるので、 何らかの実験が可能となる。
問い合わせ:フォトンファクトリー利用相談窓口 pfex-consult@pfiqst.kek.jp