担当者:山崎裕一、中尾朗子、中尾裕則、村上洋一
2010年9月17日更新
実験概要
X線散乱法は、原子内の多数の電子による散乱によって、物質の構造を知る有力な手段です。しかし、物質のさまざまな性質に重要な役割を演じる、電荷・スピン・軌道の自由度を担う電子は、原子あたり数個の電子であり、それらの電子軌道の状態を示すX線散乱強度は極めて小さいため、電子の状態を直接探ることは大変困難です。
X線のエネルギーを変えていったときに、あるエネルギー以上になると電子が軌道の間を飛び移る現象(軌道間遷移)を利用した「共鳴X線散乱法」を用いれば、電子軌道の情報が分かるようになります。この方法を用いると、電子が飛び移った一番外側の軌道の状態を強く反映した情報が得られるからです。これは、任意のエネルギーのX線を高い強度で取り出すことのできる放射光によってはじめて実現できる実験方法です。
問い合わせ:フォトンファクトリー利用相談窓口 pfex-consult@pfiqst.kek.jp