Theory Seminar (2010)

KEK 
素粒子原子核研究所・理論セミナー


   
   
   
   

 TITLE:

格子QCDから導かれたバリオン間相互作用
(Baryon-baryon Interactions derived from Lattice QCD)
 

 SPEAKER:

井上貴史氏Takashi Inoue  )
日本大学 生物資源 (Nihon Univ.)

 DATE:

Oct. 22 (Fri.) 15:00-16:00,  
In English, if necessary

 PLACE:

Kenkyu-Honkan, Room 322

 

 

 Abstract

ハイペロン力を含む一般のバリオン間相互作用は興味深い。なぜなら、ハイペロン力は星の終焉の理解に必要な情報であるし、また同時に、一般化によって核力のより深い理解が期待できるからである。これまでも80年代から有効模型を用いた拡張や導出がなされてきた。それに対し我々 HAL QCD Collaboration は、格子QCD を用い、基礎理論である QCD からの導出を行っている。

原子核物理において、ポテンシャルは便利な道具である。実際、散乱実験で得られた相互作用情報の表現や、原子核のエネルギー準位の予言などに広く用いられている。我々のグループは、格子 QCD で測定したバリオン4点関数のデータから相互作用ポテンシャルを導出している。

本セミナーでは、核子とハイペロンが厳密に多重項を組む、フレーバーSU(3)極限の世界における、8重項バリオン間の相互作用を調べる。この極限では、与えられた軌道角運動量に対して、6つの独立なフレーバー・スピン固有状態が存在する。我々はまずS波状態に注目し、独立なポテンシャルを導出した。セミナーでは、導入と方法の簡単な紹介のあと、導出されたポテンシャルを紹介し、明らかになったフレーバー・スピン依存性、特に短距離における様子の違いを議論する。また、有効模型の予言と我々の結果とを比較し、バリオン間力の物理的起源に関して考察する。時間が許せば最後に、フレーバーSU(3)が破れた現実世界でのバリオン間ポテンシャルや、
H-dibaryon に対する予想も紹介する。