Theory Seminar (2010)

KEK 
素粒子原子核研究所・理論セミナー


   
   
   
   

 TITLE:

複素座標スケーリング法を中心とした
多体共鳴状態の問題
 

 SPEAKER:

加藤幾芳氏 ( KATO, Kiyoshi )
北海道大学大学院理学研究科原子核理論研究室 
(Hokkaido univ., Nuclear theory laboratory)

 DATE:

October. 6 (Wed) 10:00-11:30
October. 6 (Wed) 15:30-17:00
October. 7 (Thu) 10:00-11:30

 PLACE:

4th building, Room. 345

 

 Abstract

量子力学では、エルミート演算子とその実数期待値が観測される状態を記述することになっていますが、 量子力学的崩壊状態に対して、G. ガモフは複素エネルギーを持った状態を導入しました。 そして、複素数のエネルギー期待値の実部は観測値、虚部を崩壊の寿命の逆数であるとしました。 このような量子力学的崩壊状態はガモフ状態あるいは共鳴状態と呼ばれています。近年、T. バーグレンは 有限な寿命をもった共鳴状態の一般の物理量を表す演算子の複素数期待値の実部と虚部を観測期待値と その不確定さであるという一般化した解釈を提案しました。本講義では通常の量子力学の枠をはみ出した 共鳴状態がどのように定義され、どのような性質を持っているか、さらに実際観測される状態や物理量と どのように関係しているか議論する予定です。

 また、最近多くの興味が持たれている多体崩壊状態あるいは多体共鳴状態をどのように求めるか、 特に複素座標スケーリング法について、その特徴と幾つかの応用を紹介する予定です。複素座標スケーリングは 動径座標をexp(iθ) 倍するだけの単純な変換であるが、その物理的な意味は深いものがあります。 複素座標スケーリング法を用いて、束縛状態と同様に固有値問題を解くことによって、共鳴状態だけでなく 量子力学での散乱問題をも取り扱うことができます。その結果、3体散乱など終状態が多体になる散乱の記述が 可能になったことを話す予定です。

 具体的な講義の計画は
1. 拡張された単位の分解
2. 共鳴状態の性質
3. 連続準位密度
の予定で、考えかたを中心に話をしたいと考えています。





※この講演はセミナーの形式ですが、3コマの特別講義です。
 またこの講演に関連して
・10/6 13:00-15:00 菊地右馬氏
 「複素座標スケーリング法を用いた散乱状態の記述と
  2中性子ハロー核のクーロン分解反応に対する適用」
・10/7 13:30-15:00 明孝之氏
 「軽い不安定核にみられる共鳴状態の構造」
といったセミナーも開かれます。