短寿命核実験

〜 短寿命核の奇妙なふるまい 〜

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陽子の数と中性子の数のバランスが崩れた短寿命核の中には、 非常に奇妙な性質を持つ原子核が存在します。 それは、 これまでの安定核の研究から知られてきた原子核の性質とは 全く異なるものです。 例えば 中性子が原子核の周りに薄く広がっている中性子ハロー核や、 陽子の分布に比べて中性子が外側にはみ出した中性子スキン核 の存在が知られています。 また、球状ではなく直線状に伸びる原子核の存在が理論的に予測されています。

核反応と言う観点からは、 超重元素の合成という興味深い話題があります。 地上に存在する元素で原子番号のもっとも大きいものはウラン(原子番号92)ですが、 それよりも原子番号の大きい元素が原子核反応を用いて これまでに実験室で合成されてきました。 天然に存在する元素に比べて原子番号が非常に大きくて 比較的に安定な元素は超重元素と呼ばれ、 現在でもその探索が続けられています。 現在までに合成された元素の最大の原子番号は116ですが、 これらの原子核は安定な原子核同士の核融合反応により合成されたため、 比較的に安定と理論的に予測されている原子核よりも 中性子の数が少ないものになっています。 中性子が過剰な短寿命核を用いた 超重元素の合成は、 これまで合成されてきた超重元素に比べて より安定な超重元素を提供するものと考えられています。 中性子が過剰な原子核では 安定核に比べて中性子の束縛がゆるく、 それによって核融合反応が促進される可能性が議論されており、 超重元素合成の可能性とともに関心が持たれています。


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