粒子のエネルギーを熱に変えて測定するために、小さくて極低温で動くセンサー「マイクロカロリメーター」を作っています。超伝導物質を用いた温度計のようなものですが、mm以下と小さいとはいえ、構造は単純でシリコンウェハー上に手作業で作り込めるのが良いところです。光(γ線から電波まで)でもα線のような粒子でも測定可能で、画素をまとめたもの、測定エネルギーを変えたもの、などいろんなバリエーションがあります。エネルギーの測定精度がよいので、量子効果の観測が得意です。とはいえ、センサーの動きを理解するには材料の特性、熱の流れ、電気応答などいろいろ考えなくてはいけません。センサーで測る宇宙にも、センサーの中の仕組みにも同じ物理法則が適用可能で、1000万度の世界を絶対温度100mKで測る不思議さ(馬鹿馬鹿しさ?)が魅力です。
量子場計測システム国際拠点(QUP)は、高エネルギー加速器研究機構(KEK)に設立した世界トップレベル研究拠点(WPI)の一つで、測定の科学を研究する場です。「量子場計測システム」には、量子場「を」測定するという意味と、量子場「で」測定するという二つの意味を持たせています。QUPでの測定研究開発は、新しい「眼」を人類にもたらし、宇宙観測や素粒子実験を革新して、この美しい世界の成り立ち(時空と物質の真の姿)の理解を助けるとともに、広範な社会への応用をめざしています。 web: https://www2.kek.jp/qup/