現在のGeant4コラボレーションの活動は、コードの維持管理をはじめ、ユーザか ら報告された問題の解決や、ユーザから要求された拡張機能の実装を中心に行っ ている。このプロジェクトを国際的に推進している組織Geant4 Collaborationで は定期的な委員会が開催され、Collaboration Board (3回), Technical Steering Board (10 回) に参加し、開発維持の今後の方針の決定を行っている。 日本グループは、トラッキング、粒子と物理過程、ユーザインターフェース、可 視化など主要な部分に関して開発責任者となり、Geant4の開発に主要な貢献を果 している。特に、計算科学センターは、日本グループの活動のホストとしての役 割を果しており、また、ユーザサポートとして、研究会や講習会なども定期的に 開催している。
2004年度は、2回の新バージョンのリリースと3回のマイナーパッチを公開した。 また、2回の講習会と1回の研究会を開催した。研究会では、様々な分野から50人 前後の参加があり、海外の研究機関の開発者を招聘して、ユーザと開発者との間 の交流を行った。このような機会を通して様々な分野の研究者との交流を図るこ とは、応用分野を広げる意味で非常に重要である。こうした研究会は、様々な分 野でのユースケース、機能要件の収集、ユーザ間の情報交換、開発者側へフィー ドバックの機会として機能している。また、講習会では、大学院生や初心者ユー ザへの教育活動を行い、Geant4の利用の促進を図っている。