アンケート集計結果報告

松尾由賀利 (理化学研究所)


 
物理学会における保育室の潜在的なニーズを調査するために、「考える会」では、8月からホームページ上でアンケート行ってきました。今後の保育室需要の動向を知るために、現在子どものいる会員だけでなく、将来(向こう5年くらいのスパンで)保育室を利用する可能性のある会員からも広く回答を集めることを試みました。その結果、2000年11月末日までに、有効回答総数62(現在子ども有:男性会員15、女性会員17、子どもなし:男性会員13、女性会員17)を得ました。これらの会員の参加分科は物性、素核宇がほぼ半々、また勤務形態は常勤職:任期付き又はポスドク:学生の割合がほぼ3:2:1です。今後保育室を利用する可能性のある子どもの数は27家族38人でした。保育の希望延べ日数は2-3日が最も多く見られました。



それでは、保育室の利用を考えているこれらの会員は、これまで学会期間中の子どもの保育をどうしていたのか、以下アンケートの回答結果から見てみます(図1)。

 
 
回答者のあらまし(有効回答数62通)
子供あり  男性会員 15 女性会員 17
子供なし 
男性会員 13 女性会員 17
参加文科 物性 30 素核宇 28 両方 4
勤務形態
常勤
30
任期付・ポスドク
20
学生
10
その他

 
 
 
機会があれば保育室を利用したい回答者
男性会員
女性会員
現在のニーズ 
12
17
将来のニーズ 
12
17

 

図1: 今まで学会期間中の子供の保育をどうしていたか(複数回答)
 
少なからぬ割合で、会期の全部又は一部の参加を諦めていたり、どうしても参加したい場合には子どもをみてくれる家族を同伴してまでやりくりをしていたことがわかります。また日帰りできる範囲での参加をする場合に、極端な例では東京から仙台まで毎日往復した、というものもありました。従って、保育室が設置されれば参加しやすくなるか、との質問には、8割が「はい」と答えています(図2)。また、実際に利用したいか、との質問に対して、「利用したい」「機会があれば利用したい」という会員が大半でした(図3)。
図2:保育室ができたら参加しやすくなるか?
図3保育室ができたら利用したいか? 
(a:左)現在子供ありの回答者,(b:右)現在子供なしの回答者

 
 また、利用する可能性のある子供の構成および預けたい希望日数を図4、図5にまとめました。中心は3〜6歳にありますが、小学生を預けたいという希望も少なからずあります。希望日数は3日程度が平均的で、4日とも預けたい希望もあります。
図4(左):利用する可能性のある子供の年齢
図5(右):利用したい延べ日数
 
 次に保育室の運用に関する質問を行いました。保育料がいくらまでなら預けるか、の上限値については、子ども1人につき1時間あたり1000円前後と比較的高い金額になりました(図6)。安全であれば多少高くても預けたいという切実な希望がうかがえます。
また、設置する大会については、ほとんどの会員が常時設置を希望しています(図7)。

その他、自由回答でさまざまなコメントが寄せられましたが、会場の安全確保や、シッターが常に2人以上であることなど、安全面に関する意見が多く見られました。

 

図6:保育料がいくらまで(上限値)なら利用するか (円/時間/子ども)。左図:子供ありの会員の意見、右図:子供なしの会員の意見(将来のニーズ)
図7:設置を希望する大会(複数回答)。左図:子供ありの会員の意見、右図:子供なしの会員の意見(将来のニーズ)
<回答者からの希望>
子ども有     
  • 0歳児保育
  • 屋外保育
  • 慣らし保育
  • 携帯等、いつでも連絡できる手段
  • 学会会場内  2件
  • 危険性の少ない会場
  • 家族用の休憩室  2件
  • 少々割高でも安全であれば
  • 保母さんは2人以上
  • 2‐3日前でも予約可能
  • 子育てと仕事の両立に関する情報交換
  • 保育室の様子を知りたいので、今回の保育室の報告を
子どもなし(将来のニーズ)
  • 外国人研究者への対応
  • 授乳できると良いと思う
<その他のコメント>

子ども有     

  • 実母が見てくれるが、必ず実現するとは限らない
  • 妻と別学会だがやりくりが苦しい、必ずできると限らない 2件
子どもなし(将来のニーズ)
  • どんな人が託児にあたるのか?
  • 女性のみならず、男性にも関係あること
  • 是非設置を  2件

 
 
以上のアンケート結果から結論として言えることは、物理学会にニーズは確実に存在すること、回答者のうち若手研究者の占める割合が多いことを見ても今後需要が増えることはあっても減ることはないであろう、ということです。