仮想PCの利用の歴史

H. Nakao

〇 仮想PCの利用の動機

担当する回折・散乱装置の制御PCを、多数、維持管理しており、 トラブル時の対応が、大変である。
例えば、デスクトップPCを使って、各種機器の制御を行っていたが、 PCの故障に伴い、ハードウエア的に使えないボード等が発生したり、 ソフトウエア側もUNIXシステムの変更により、 ドライバーソフトが入らない.. など、苦労する。 一方で、PC側は新しい機器が利用され、古いUNIXシステムでは動作しないため、 新しいシステムの利用が必須となる。 また、GPIB制御機器は、PCの性能の向上に伴い、正常制御できなくなり、 プログラム中に待ち時間を入れる必要が出る事があったりする。
一番、大変だったのは、UNIX側のセキュリティホール対応のため、 すべてのPCのUNIXのバージョンアップが必要になった時、 アップグレードできないシステムもあり、苦しんだ。

そこで、PC側のハードウエアに依存せず使える仮想PCの利用を開始することとした。

〇 仮想PC化の履歴

まずは、すべての制御機器をPCに直接ハードウエア的に接続しないものへ 変更を進めた。
当時、GPIB制御機器が多数あり、その移行には数年かかった。

最初に利用した仮想PCのシステムが、VMPlayerである。 PC本体側をWindowsとすることで、ユーザーの使い慣れたアプリケーションと 仮想PC側のUnixを融合して使うことができ、 Unixに使い慣れていないユーザーのユーザーサポートは し易かったように思われる。 しかしながら、window updateが頻繁にかかり、 実験に支障が出ることが...。

そこで、Linux上のVMPlayerの利用に切り替えることに。 こちら、windowsのものと比較すると、不安定。 さらに、Linuxでもシステムの自動更新がそれなりにあり、 VMPlayer自体が動作しなくなることが、頻発した。

次の手として、VMPlayerを選定した当時も知っていたVirtualBoxの利用を試したところ、 Linuxのパッケージで簡単にインストールできることもあり、悪くない。 そこで、実際に使い始めたところ、 window上のVMPlayerが1か月ほどは安定して動作していたのと比較して、 Xウインドウ環境が頻繁にフリーズし、1週間も持たない。。。 (外部制御、つまり、nomachine越しに使っているとトラブルはあまりないのだが)

たまたま、セミナーで聞いたKVM、システムが止まったことない。とのこと。 こちらの関係者に聞いても、評判良さそう。 ということで、使い始めたところ。 VMPlayer, VirtualBoxと比較して、PCのメモリーの利用が上手のようで、 PCへの負荷は少ないようである。 ただ、Xウインドウの安定度は、やっぱりいまいちの様子。