担当者:山崎裕一、中尾朗子、中尾裕則、村上洋一
2010年9月17日更新
初めに
我々の身の回りに存在する物質は、全て原子によって構成されています。
したがって、物質の性質(物性)は これら原子の並び方(配列構造)や
原子自身の持つ性質により決定づけられます。
つまり「構造」を調べることが、「物性」を理解する上で極めて重要であり、
このような研究の事を『構造物性研究』と呼びます。
「X線回折」は、この構造を決定する上で、最も一般的でかつ精密な
実験手法である。
特に、近年多彩な物性(高温超伝導体、巨大磁気抵抗効果、
巨大電気磁気効果など)を示すことで、注目を集めている強相関電子系では、
物質中の電子のもつ電荷・スピン・軌道の自由度が
原子の配列である結晶格子の上で
どのように振る舞うかを明らかにすることが、極めて重要となっている。
ここでは、放射光を用いることによってのみ初めて可能となった
『共鳴X線散乱(回折)』と呼ばれる実験手法を用いることで、
電荷・スピン・軌道の秩序構造を調べる研究が精力的に行われている。
さらに、この強相関電子系における電荷・スピン・軌道の秩序状態は、
温度、圧力、磁場、電場、光、などといった外場に
極めて敏感に応答することが良くあり、このような外場に対する構造変化を調べる
ことは、物性発現の起源の解明という意味でも重要であると共に、
これら外場による物性制御といった産業応用へと繋がる研究である。
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