飯田 圭 | (高知大) | 「天体核(中性子星・核物質・対称エネルギー)」 |
石川 智己 | (Shanghai Jiao Tong University) | 「核子構造」 |
土井 琢身 | (理研) | 「核力、ハドロン間相互作用」 |
萩野 浩一 | (東北大) | 「原子核反応」 |
原田 融 | (大阪電通大) | 「ハイパー核」 |
原田 正康 | (名大) | 「媒質中のハドロン」 |
平野 哲文 | (上智大) | 「重イオン・強い場・非平衡」 |
松尾 正之 | (新潟大) | 「原子核構造」 |
安井 繁宏 | (東工大) | 「ヘビークォークの物理」 |
クォーク・グルーオンから構成されるハドロン、そしてそのハドロンの集合体である 原子核、これら強い相互作用をする量子多体系は多種多様な性質を秘めております。 これらを研究対象とする『広い意味での原子核分野』では、 ・扱う自由度は、陽子や中性子といった核子から、その下の階層のクォーク・ グルーオンに至る。 ・フレーバーはアップ・ダウンに留まらず、ハイパー核研究のようなストレンジネス、 更にはヘビークォークのチャームやボトムにまで広がる。 ・原子核のような有限系の研究から、核物質の液気相転移やハドロン−QGP相転移 といった無限系の研究にまで及ぶ。 ・核構造と核反応のように静動両面から研究。 ・巨大な原子核とも言える中性子星のように、宇宙にまで及ぶ。 と、その研究対象は非常に多岐に渡っております。 そしてこのハドロン・原子核は多彩な性質を示します: ・原子核におけるシェル的構造とクラスター構造 ・ハドロンの新しい存在形態として、Λ(1405)に代表される分子的状態、 またX,Y,Zといったエキゾチックハドロン ・QCD相図での予言される様々な相(CGC,CFL、Quarkyonic、…) これらはあくまで一例に過ぎず、枚挙に暇がありません。 このような多くの表情をもつハドロン・原子核を完全に理解するため、 各専門分野において、新たな理論やモデル、画期的な計算手法が生み出され、 理論研究は日々発展してきております。例えば計算機の進歩も助けとなり、 いよいよ基礎理論である量子色力学(QCD)から直接ハドロン間相互作用が 求められるようにすらなりつつあります。 このように我々が研究しているハドロン・原子核は多彩な性質を持ちます。 この多彩さが広い意味での原子核分野の大きな魅力とも言えます。 この多彩な性質を解明するため、バラエティに富むアプローチで理論研究がなされ、 発展していることは、言うまでもなく素晴らしいことです。 しかしながら同時に『分野の細分化』が起きてしまっていることも否めません。 同じハドロン・原子核というコミュニティに属しているのにも関わらず、 自分とは専門が違う人たちがどういう研究をしているのか、よく知らないということも あるかと思います。また「○○というキーワードをしばしば聞くが、どういうこと なのだ?」「前に△△ということが話題になっていたが、あれは結局どうなったのだ?」 などと、他の専門について疑問をもっている方も居られることでしょう。 広い意味での原子核分野の方が全員集まる機会は、日本物理学会の年次大会・分科会と 年に2回あります。ですがセッションが並行して走っているため自分の専門 以外のセッションに出られなかったり、また一つの講演時間も短く残念ながら 詳細まで聞くことが出来ができません。 このような状況を鑑み、今回KEK理論センターでは『ハドロン・原子核全般に 渡る理論的研究に関する研究会』を設けることにした次第です。 各分野の状況等を総合的に説明するレビュー講演に加え、その分野の最新の研究を 一般講演で多くの方に話して頂きたく思います。ポスターセッションを設ける 場合もあります。 なお、研究会の主旨がいわゆる呑舟研究会と似ていると思われる方も 居られるかもしれませんが、本研究会は呑舟とは異なりますので、ご注意ください。 呑舟研究会は若手研究者に焦点を絞っておりますが、本研究会はそうではありません。 若手の方はもちろん、多くの中堅・ベテランの方々にも参加・講演して頂ければ 幸いです。 多くの方の講演・参加申し込みをお待ちしております。