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はじめに



概要

Geant4(http://geant4.web.cern.ch/geant4/)は、素粒子が物質中で 起こす様々な反応をシミュレーションするためのソフトウェアである。1998年12 月に正式バージョンを公開の後は、研究協力覚書(MoU)の下でワールドワイド なコラボレーション活動を行っている。現在では、Geant4の応用分野は、高エネ ルギー、原子核実験にとどまらず、放射線医療などの医学分野や宇宙天文学、宇 宙工学などの宇宙分野にまで広がり、測定器シミュレーションのデファクトスタ ンダードとなりつつあるといえる。



学際応用への展開

Geant4の応用という観点から、高エネルギー、原子核実験にとどまらず、学際分 野への応用を広げる活動を積極的に行ってきた。研究会などを通して、様々な応 用分野の研究者との交流を行い、各分野でのユースケースの洗出しや機能要件の 収集を継続的に行っている。特に、医学分野への応用は、Geant4と同様なシミュ レーションソフトウェアであるEGS4が医学分野で広く使われていることから、今 後の展開が見通しやすいという点もあり、我々、高エネルギー分野の開発者にとっ ても非常に関心のある応用分野である。特に、近年発達しつつある粒子線治療の 分野では、治療前に治療の方法やその効果に関する予測が可能であるため、その 応用が期待されている。2003年10月には、「高度放射線医療のためのシミュレー ション基盤の構築」という課題名で、日本科学技術振興機構の研究プロジェクトと して採択された([*]節を参照)。5年間の研究プロジェクトとして、放 射線治療にGeant4を応用する際に必要となる機能を、系統的に研究開発すること を目指している。また、米国SLAC 及びイタリアの大学ともGeant4の医学応用の テーマで共同研究を行っている。



2004年度の目標



Computing Research Center, 2005