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巻  頭  言

IT分野の進歩は目まぐるしく、常に新しい技術が日常環境に応用され、更なる可 能性をも示唆し続けている。一つの技術の進歩が、既存の関連技術を刺激し、そ れぞれの進歩につながって行く、技術的進歩の連鎖反応的現象とみることができ る。

私達もこの恩恵を享受しており、先進的な研究者は、巷で見つかったより新しい 技術を研究環境に利用しようと躍起になる場合もある。先進的か否かに関りなく、 今や計算機やネットワークなしでは研究活動ができないのが現状である。環境が 便利になればなるほど、それを支えるものは複雑になり、一般利用者にとっては ブラックボックスとなり、一度セキュリティインシデントなどの問題に遭遇する と対処できなくなる場合も少なくない。このような情報環境についての支援を強 化するべきという意見をよく耳にする。

一方、計算機の急激な性能向上と低価格化によって、これまで大型システムに頼っ ていたシミュレーション計算やデータ解析が自前で購入したデスクトップ計算機 でできてしまう研究グループも多々みられるようになった。また、それとは逆に、 Bファクトリー実験やCDFやLHC実験のような、大量のデータを蓄積し解析するた めに膨大な計算資源を必要とする実験では、ホスト研究所だけでは必要な資源を 賄いきれず、WAN上に分散した各研究所の計算資源を一つのシステムとして機能 させるGrid技術が不可欠となりつつある。

平成16年4月に高エネルギー加速器研究機構が大学共同利用機関法人となってま る一年がたった。計算科学センターの任務、即ち、機構の研究活動に必要な情報 環境と計算環境を提供すると共により良い環境を提供するための研究を行うこと、 に変わりはない。法人化という節目を積極的に捉えて、現中期計画・中期目標の 期間を、より充実した支援と研究に最適な体制や環境を作り上げる好機であると 考えている。

平成17年7月
川端  節彌



Computing Research Center, 2005